今話題のアーティスト、バトルスのアルバム「ドロスグロップ」。その第4弾の評判はとても良いものです。バトルスミュージックは、音楽誌NMEでも称えられており、音楽界に多大な影響を与えてきました。
彼らの音楽の魅力は、なんといってもその大胆さにあります。どんなジャンルにも囚われない自由な作風は、結成当初こそなかなか受け入れられませんでしたが、今やその奔放さが彼らのセールスポイントにもなっているのです。彼ら自身が新たなジャンルになっているとも言えるでしょう。
アルバム「ドロスグロップ」の作成中、タイヨンダイ・ブラクストンがバンドを脱退するなど、精神的にも厳しくなるような問題も起こりましたが、そんな問題をポジティブに解決しながら創られたのがこの1枚です。
タイヨンダイ脱退のニュースは多くのファンを不安にさせましたが、この作品でそんな不安を見事に払拭したと言えるでしょう。ヴォーカルを楽器の一つと位置付ける彼らにとって、ヴォーカル不在の状態は、音楽の幅が1つ狭くなったことも意味していますが、それでもなお、質の高い音楽を提供できる彼らの潜在能力は計り知れません。
包み隠さず言うと、タイヨンダイの脱退には不安しか残らなかった、と彼らは言っています。バトルスの要でもあり頭脳とまで言われたタイヨンダイの力を無くして、自分達の将来について考える良い機会にもなったようです。
失う物も大きかったですが、そこから得た物も大きかったのです。曲づくりに時間がかかっていたドロスグロップも、タイヨンダイが脱退してから急速に進行。バトルスの作曲は、メンバー全員が納得のいく物ができて初めて完成となるのですが、4人の意見が入り混じって混迷してしまっていたのです。彼がいなくなって音楽の幅は少し縮まってしまったものの、その分を他メンバーがカバーしなければならないという意識を持ち、取り組めたことが成功の要因にもなっています。
富や権力には興味が無いと語るバトルス。今回NMEに絶賛されたことも、彼らにとってはあまり価値の無いことかもしれません。しかし、ファンが増えることによってバトルスがこれからも活動を続けていけるのならば、ファンにとってもこの上無い喜びでしょう。型破りで、破天荒、そして好きなことに全力を注ぐ彼らの音楽に対する真摯な姿が、ファンを魅了する1つのファクターなのかもしれません。バトルスがこれからも独創的な音楽を提供してくれることは間違いはありません。